CIMの概念整理から、今後の展開を視野に試行を通じた課題検討へ ― CIM技術検討会の活動成果と新たな取り組み
「一番大きかったのは、(検討会の中でも)皆さん(当初は)同床異夢みたいな感じで、(各々の『CIM』という概念に抱く)バラバラだったイメージが(次第に)大体こんな感じなのでは、と揃ってきたところです」
同検討会ではまず、「CIMとは何か」といったイメージを整理。それをベースに、検討会やワーキンググループの活動、現地調査などを重ねる中で、先進的な取り組み事例やCIMの有効活用に繋がるさまざまなヒントが集積。それらを通じて得た初年度の活動成果(CIMの具体像や当面の目標など)が今年3月、「CIM技術検討会 平成24年度報告」として取りまとめられている。
自身、今年3月からJACIC内のCIM担当者として同検討会の運営を担う笛田氏はCIMをめぐるJACICの関わりと、同検討会の昨年の活動の推移をこう辿る。
一方、これらの取り組みと並行して国交省では昨年度、同省直轄の11事業でCIMモデル事業(試行業務)を実施。併せて昨年8月、同省はCIMの導入促進を目的に、CIMに関係する現行の制度や基準等における課題を整理・検討する「CIM制度検討会」を設置した。
(画像はJACIC 提供) (Images provided by JACIC) |
このような中、CIM技術検討会は案段階の「平成24年度報告」に基づき、CIM制度検討会に対して提案。また、JACICのWebサイト内にCIM専門サイト(http://www.cals.jacic.or.jp/CIM/index_CIM.htm)を開設するなど、CIMの理解を促進する広報活動に注力。さらに、そのアウトリーチ(Outreach:双方向的な対話を通じた検討成果の周知)展開の一環として、(公社)土木学会と連携。同学会が今年7月以降、全国で順次開催中のCIMに関する講演会では同報告が資料として活用されているという。
CALS/ECとCIMのアプローチの違い
CALS/ECでも、もともと電子化メリットのより有効な活用を視野に、単に情報の受け渡しに留まらず、情報の共有がそのターゲットの一端としては捉えられてきた。その意味で、CIMはむしろ、後者にウェートを置いている点がCALS/ECとの大きな違い、と笛田氏はCIMを特徴づける。
これに関連して同氏は、「建設CALS整備基本構想」(1996年度策定)に遡り、当時のICTのレベルでは同構想で描かれたスペックに対応するには荷が重かったのでは、と述べる。
それが、3Dモデルはもちろん、ICタグや計測技術など先進のICTをツールとして活用し、CALS/ECの理念を実現可能な環境にようやく追いついてきた。それとともに、ICTに対する視点が「こういうものがあるからやりましょう」というベンダー主導のものから、「こういうことが出来ないか」といったユーザー主導へと移り変わってきたという。
(画像はJACIC 提供) (Images provided by JACIC) |
Exploring New Trends: Information-oriented Strategy and Technologies in Civil Engineering, Construction, Transportation and Environment
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