近年、社会資本整備など建設分野の情報化に関連して熱い注目を集めるトレンドの一つにCIM(Construction Information Modeling/ Management)がある。そのベースとなるのは、もともと建築分野で普及が進むBIM(Building Information Modeling)だ。
CIMでは、建設事業の調査・計画から設計、施工、維持管理、さらに更新に至る各段階を通じ、ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)を駆使。一連のプロセスで関係する情報を一元的に共有・活用することにより、建設の各段階における効率性の向上、公共事業の品質確保やトータルコストの縮減などさまざまな効果の実現を目指す。つまり、建設事業のプロセス全体での生産性向上に繋がる新しい建設管理システムを構築しようというもので、その中核には3次元(3D)モデルが位置づけられる。
そこに込められた狙いや可能性、あるいは公共事業のライフサイクルにわたるプロセスを通じICTをキーとした新しい仕組みを導入しようという考え方など、CALS/EC(Continuous Acquisition and Life-cycle Support / Electronic Commerce:公共事業支援統合情報システム)の次なるパラダイムを想起させる要素は少なくない。ただ、国土交通省がトップダウン的に推進し、同省直轄の全事業をはじめ広く公共事業を対象に壮大かつ全く新しいシステムへの移行を目指したCALS/ECのケースとは、ICT活用環境や公共事業を含む社会環境の変化を反映し、その具体化アプローチやウェートの置かれ方などにおいて異なる展開も窺われる。