グランプリ
「VRシミュレーションを活用した超小型EV車シェアリングシステム企画」

トヨタ自動車

 経済産業省の補助事業としてさまざまな実証実験が進められている「豊田市低炭素社会システム実証プロジェクト」。とくにその「移動(交通)」の分野で、多様な交通手段の提供・連携により移動の低炭素化を目指す取り組みの一つが「ワンマイルモビリティサービス」だ。これは、超小型EV車の効率的な共同利用により公共交通の発着所(デポ:depot)から目的地までのラストワンマイルを繋ぐ、次世代の末端交通システムの構築を目指すもの。

 そこでトヨタ自動車は、現地調査に基づき都市空間をVRにより再現した中で車両やデポ、充電ステーションなどを配置してシミュレーション。これを通じ、それらのデザインやレイアウト、位置、車両数などを検討。併せて、サービスを利用するための予約から車両貸出・返却に至る手順を辿りながら、その間のユーザーの動線を検証・確認している。



準グランプリ 優秀賞
「点群データを用いたまちなみ修景計画シミュレーション」
九州オリエント測量設計
 長崎市の寺町通りを対象とした修景計画に当たり、九州オリエント測量設計は当該エリアをVRで再現。点群データを利用し、整備前(現況)と整備後(計画)、あるいは昼間の風景と夜間のライトアップシーンを容易に切り替えて表現する。

 具体的な整備内容は、@速度抑制のための車道幅の縮小A歩道の拡幅B歩車道の舗装の変更(石畳、あるいは石畳風)C歩車道境界柱の設置D電柱の色の変更(茶色)E石垣のライトアップ ― など。シミュレーションにより、通りに沿って進む歩行者の視線でそれらの差異を事前に、臨場感豊かに体感できる。



準グランプリ 優秀賞
「VRによるトンネル管理者向け訓練システム」
BMIA社
 プロジェクトの幅広い領域にわたってさまざまなソリューション・サービスを提供するフランスのBMIA社は、VR技術を応用したトンネル管理者訓練システム「G’Val」を紹介する。これは、交通量やそれらの速度、信号、さらに時刻や地理的な位置、気候、光などの環境条件を事前に設定して交通流を生成。その上で、道路やトンネルのオペレーターによる実際の作業を正確に反映する、VRベースの訓練システムを開発すべく取り組まれてきたもの。

 作品の冒頭は、実際のトンネル監視システムとその訓練用システムを対比。次いで、システムにさまざまな条件を設定する仕組み、訓練用に現れる各種事象、それらを受けて求められる対応を、一連の流れの中で説明。最後に、トンネル内で交通事故により火災が発生した中を走行するドライバーの視点の訓練用VR画像データを示す。

Exploring New Trends: Information-oriented Strategy and Technologies in Civil Engineering, Construction, Transportation and Environment

 潟tォーラムエイトは2012年9月20日、「第11回 3D・VRシミュレーションコンテスト オン・クラウド」の受賞結果を発表、表彰式を行った。

 同コンテストは、同社の3DリアルタイムVR(Virtual Reality)ソフト「UC-win/Road」の「ソフトウェア・プロダクト・オブ・ザ・イヤー」受賞(2002年)を機に創設されたもの。以来、毎年開催されてきた中で、前年度からは応募作品を基に事前選考されたノミネート作品(今回は11作品)の公開と一般投票のプロセスに、サーバ上でUC-win/Roadを実行させWebブラウザでVR空間を操作できる「VR-Cloud」を導入。より効果的な周知と幅広い層の投票参加を可能にする形が取られている。

 今回も前年度と同様、この事前の一般投票の結果と、「FORUM8 デザインフェスティバル 2012-3Days」(9月19日〜21日)のDay1(9月19日)で実施された審査委員による選考を受け、各賞受賞作品を決定。Day2(9月20日)に各賞の発表およびその表彰式が行われた。
WritingSolutions
WebMagazineTitle
EVベースの低炭素交通システム提案への活用がグランプリ
Forum8-1
 グランプリに輝いたのは、トヨタ自動車鰍ノよる「VRシミュレーションを活用した超小型EV車シェアリングシステム企画」。同社は、豊田市および関係分野の企業・団体が協力し、次世代の低炭素エネルギー・社会システムの構築に向けた実証活動を進める「豊田市低炭素社会システム実証プロジェクト」に参加している。そこで今回作品では、その一環として取り組む「ワンマイルモビリティサービス」の利用シーンがVRでシミュレーションされた。

 また、九州オリエント測量設計鰍ノよる「点群データを用いたまちなみ修景計画シミュレーション」、フランスのBMIA社による「VRによるトンネル管理者向け訓練システム」が、それぞれ準グランプリ 優秀賞を受賞している。

 これらの作品をはじめ、「第11回 3D・VRシミュレーションコンテスト・オン・クラウド」における各賞の受賞者および作品内容の概要は次の通り。
WMVR
(画像はいずれも、潟tォーラムエイト提供)
「第11回 3D・VRシミュレーションコンテスト・オン・クラウド」
Report on the 11th 3D-VR Simulation Contest on Cloud
By 池野隆(Takashi IKENO)
(掲載 11/16/2012)
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