「昭和27年当時の大牟田市内線路面電車軌道および沿線の復元」
井尻慶輔氏
福岡県大牟田市でかつて市民の足として親しまれていた西日本鉄道（西鉄）大牟田市内線が休止されたのは、昭和27年（1952年）。井尻氏は、その路面電車が活躍し、炭鉱が盛業であった当時の沿線の街並みをVRで再現した。「お年寄りをはじめ広く市民の方々にご覧いただきたい」との発想の下、車両そのものはもちろん、街路や周辺の家並み、市の象徴的な建築物、行き交う人々の服装、立体交差する炭鉱電車など、昭和の大牟田の街を彷彿とさせるべく再現。カラー映像の中を自由な視点で体感できるよう構成している。
エッセンス賞
「北陸新幹線『飯山駅』前まちづくりシミュレーション」
飯山市役所 建設水道部 まちづくり課／新幹線駅周辺整備課
平成26年度末に開業が予定される北陸新幹線・飯山駅。これにより長野・金沢間が直結、その延長上で東京とも連絡されるのに向け、新駅周辺では駅前広場をはじめとする各種公共施設の整備が進行。併せて、同じ頃に飯山城が築城450年を迎えることから、城山公園の整備も取り組まれている。そこで飯山市は、新幹線を核とする都市機能と自然が融合する新しい飯山をVRでシミュレーション。その成果は、ワークショップやフォーラムなどにも活用されており、市と住民が一体となって取り組むまちづくりのプロセスで重要な役割を果たしているという。
作品はまず、飯山駅到着間近の北陸新幹線の車窓から望む飯山市街の眺め、次いでプラットフォームに降り立ち、エスカレーターで地上階へ向かう流れを乗客の視点で表現。続いて、祭りが催される広場を中心とする駅前周辺の風景、そこでのドライバー視点による走行シミュレーション、桜の季節の城山公園内の様子とそこからの市街と山々が織りなす眺望へと展開する。
審査員特別賞 地域づくり賞
「“踏切と狭隘橋梁が連続する区間の渋滞緩和”を目指して！!」
西鉄シー・イー・コンサルタント㈱
既存の道路で、踏切と狭隘橋梁が連続する区間における交通渋滞が問題化。その緩和策として、河川や鉄道を横過し低平地の田畑を通過するルートにより、バイパス道路の建設が計画された。そこで西鉄シー・イー・コンサルタントは、地元住民との合意形成を早期に図り、スムーズな事業進捗に繋げることを目的に、バイパスルートをVRで作成した。作品では、河川や鉄道を含むバイパス道路周辺のエリアをカバー。上空からの視点によるプロジェクトの概要把握、鉄道車両からの視点による道路との立体交差の確認、歩行者の視点による影の発生具合の体感などが可能になっている。
審査員特別賞 開発賞
「ITSスポットサービス体験シミュレータ」
JEITA（一般社団法人 電子情報技術産業協会） カーエレクトロニクス事業委員会／カーエレ機器普及促進専門委員会
道路に設置された「ITSスポット」と、クルマ側の「ITSスポット対応カーナビ」との間で行われる高速・大容量通信により、広域道路交通情報や画像の提供などさまざまなサービスを実現する「ITSスポットサービス」。JEITAはVR技術を活用し、この新世代のITSサービスをインタラクティブに体験できるシミュレータを開発している。同シミュレータは、高速道路を走行中のドライバーがITSスポットから提供される安全運転支援情報や道路交通情報を3D・VRベースのドライビングシミュレータ（DS）上で再現する。利用者は臨場感溢れる映像および音響の中で、各種ITS情報サービスを体験しながらDSを操作。ゴール到着後には、自身の運転に対する診断結果が表示される。
