WM20120110VRcontest

グランプリ
「運転設備設置位置検討システム」
(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構

　鉄道の信号機や標識類の設置にあたっては、運行の安全を確保するため、所定の位置における乗務員等の視点から視認性を確認することが求められる。そこで同システムは、列車乗務中の環境をVRで再現し、信号機・標識類の視認性をシミュレーション。設計段階でそれらの確認が可能になることで、設置後に移設するリスクが軽減され、コスト節減にも繋がるものと期待される。

優秀賞
「VICSドライブ・シミュレータ」
(財)道路交通情報通信システムセンター

　「VICS（Vehicle and Communication System）」は、渋滞や交通規制など多様な道路交通情報をカーナビゲーションに配信し、デジタル地図に重畳したり、文字や図形で表示したりするもの。そのVICSを体験できるドライブ・シミュレータの最新版（第4世代）では初めてVRをベースに開発。ITSスポットやDSSSといった新サービスにも対応している。

アイデア賞
「仮面ライダーサイクロンレーシングシミュレータ」
東映㈱

　今回コンテストで異彩を放った、レーシングゲームのシミュレータ。利用者は、襲いくるショッカー軍団、迫りくる無数の岩石や炎をかいくぐりながら、ゴールを目指す。得点ランキングを競うほか、ライダージャンプの仕掛けなど、子供たちが楽しめるコンテンツも工夫。ツールの新たな可能性を示唆している。

　「3D・VRシミュレーションコンテスト」は、フォーラムエイトが3DリアルタイムVR（Virtual Reality）ソフト「UC-win/Road」の「ソフトウェア・プロダクト・オブ・ザ・イヤー（SPOTY）」（当時の主催は(財)ソフトウェア情報センター（SOFTIC）、現在は(独)情報処理推進機構（IPA）が主催）受賞（2002年）を機に創設された。

　第10回目を迎えた今回は、応募作品（16作品）の中から選考されたノミネート作品（海外2作品、国内8作品、計10作品）の公開および一般投票プロセスに、初めてクラウド・コンピューティング技術（VR-Cloud(R)）を利用。5分未満のスクリプトとシナリオで表現された各作品に対する事前の一般投票の結果に、Day1（11月15日）の選考委員による最終審査を総合する形で、各賞受賞作品が決定している。

　選考委員は、傘木宏夫氏（NPO 地域づくり工房）、関文夫氏（日本大学）、稲垣竜興氏（(一社)道路・舗装技術研究協会）、小林佳弘氏（アリゾナ州立大学） ― の4氏により構成。関氏は選考委員を代表し、UC-win/Roadの利用が従来型のシミュレーションや分析に留まらず、製品プロデュースやPRといった形にも展開するなど、コンテスト開始から10年を経る中で本質的なツール利用のあり方が問い直された、との講評を述べた。

　「第10回 3D・VRシミュレーションコンテスト・オン・クラウド」における各賞の受賞者および作品内容の概要は次の通り。（画像はいずれも、㈱フォーラムエイト提供）

　㈱フォーラムエイトは2011年11月16日、「第5回国際VRシンポジウム」を品川フロントビル会議室で開催した。これは、11月15・16・17日の三日間にわたる同社主催「FORUM8 デザインフェスティバル 2011-3Days」の一環（Day2）として実施されたもの。

　今回「国際VRシンポジウム」の前半は、「第10回 3D・VRシミュレーションコンテストオン・クラウド」の受賞作品の発表および表彰式、「Virtual Design World Cup（第1回学生BIM & VRデザインコンテストオンクラウド）」の授賞式、特別講演により構成。これらを受けた後半には、「World 16」の研究発表が行われた。

　そのうち、「World 16」の研究発表については、国内外の研究者による全13発表のリポートを本Webマガジンの11月号以降、順次連載していく予定です。