次いでアブデルハミード氏は、このような建設プロセスにおけるVR利用の概念を図化して解説する。

図式は、建設モニタリングでの利用に向けVRモデルに属性情報を付加する流れを示す
A Diagram Shows Adding Attributes to VR Model for Construction Monitoring 

  (画像はワーイル・アブデルハミード氏 提供/(有)ライティング・ソリューションズ 訳)
(Images provided by Wael Abdelhameed/Translated by WritingSolutions Ltd.))

 まず、構造建築部材(structural building elements)は構造建築の複数モデル・グループに分解され、UC-win/Road(もしくはラージスケール・マルチVR「VR-Studio」)に取り込まれる。これを受けて、UC-win/Road(もしくはVR-Studio)で作成されたVRが、マイクロシミュレーションプレーヤーを介して再生される。その際、XMLファイルを利用することで、VRモデルに属性を加え建設プロセスでの変更も反映して可視化できる ― 。こうしたアプローチは同氏らが前年度に取り組んだ研究により実証されてきた。

 一方、2011年度はMicrosoft Accessでモニタリング向けにデータベースを構築。VR-Studioを通じて可視化し、一連のレポートにおいて画像のアウトプットを得ることとした。レポート自体は他のPMソフトからでも得られるが、ここでは前述のような事情によりMicrosoft Accessが用いられた。

 つまり、建設プロジェクトのモニタリングに当たり、レポートをVR-Studio内の画像に置き換えることで建設プロセスを可視化。同時に、施工段階(stage)ごとに関連するデータも可視化して把握する、との考え方が描かれた。


建設モニタリング向けVRの作成・利用

 今回の研究に関連しアブデルハミード氏はまず、建設プロジェクトにおいて自身らが実際に取り組んだ工程と、そのプロセスを通じ最高執行責任者(COO)やプロジェクトマネージャ、プロジェクトエンジニアらの必要に応じて説明すべきデータの提案例を示す。

 具体的には、造成工事(site preparation)、掘削工事(excavation)、基礎工事(foundation)、地上階の柱施工(ground floor columns)、組積工事(masonry)、地上階の床スラブ施工(ground floor slab)といったタスクを列挙。これらに対し、(1)期間、開始および終了年月日、建設状況から成るスケジュールデータ、(2)敷地面積(area)、建築容積(volume)、コンクリート量、鋼材量などの構造データ、(3)施工法(construction method)、床面積(surface area)、骨組みの種類(framing way)、骨組み工事期間(framing duration time)などのモニタリングデータ ― といった各種データ項目を設定する。

 また、その時点では同研究自体が完成に至っておらず、まだ継続中としながら、コントロールあるいは知識のレベルに基づき考え方のアウトラインを例示した。

 そこでは、「レベル1‐プロジェクト」として複数のプロジェクトを並べて表記。その中の一つのプロジェクトに対し、設計、調達、施工などの活動から成る「レベル2‐フェーズ」を位置づける。そのうち、施工フェーズに焦点を当てた「レベル3‐ワークパッケージ(Work Package)」は造成工事、基礎工事、床スラブ施工(slab)、鉄骨工事(steel)といったプロジェクトの管理単位を構成。さらに、床スラブ施工を例に型枠工事(form)、メッシュ配筋(mesh)、コンクリート打設(pour)といった作業を担う「レベル4‐受注者(Contractor)」がリンクする ― という流れを説明する。

 その上で、意思決定者を含む多様な関係者にとっての異なる関心領域をこれらと関連づけ。とくにプロジェクトエンジニアや受注者らにとっては、知識のレベルが詳細なデータへよりフォーカスすることになる、とする。

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