Build Live Tokyo 2010のコンペでのレンダリング例
Examples on rendering in the competition at the Build Live Tokyo 2010

(画像は小林佳弘氏 提供/(有)ライティング・ソリューションズ 訳)
(Images provided by Yoshihiro Kobayashi/Translated by WritingSolutions Ltd.)

 こうしたフレームワークを構築したのを踏まえ、小林佳弘氏は今後さらに作業時間を短縮し、実践的に機能するツールを次々と開発していきたい考えを示す。

 それを具体化するのが、冒頭でも触れたCityDesignツールだ。

 これは、同氏らが3ds Max用プラグインとして開発し、2009年のWorld 16で発表したもの。3ds Maxで動作するVR都市モデル自動生成ツールと、Pov-rayデータインポートツールから構成。UC-win/Roadと3ds Maxを連携させるフリーソフトとして、既に公開されている。

 DEM(Digital Elevation Model)の地形データ、ゾーニングデータ(zoning data)、および道路ネットワークがあれば、基本的には都市の生成は可能。ただ、実際にそれをプログラムで行おうとすると1,500行に及ぶコード(code)を理解しなければならず、マニュアルで行うとなると膨大な作業が求められる。

 そこでこれを容易に実現するため、短時間かつ自動的にモデリングを行い、シンプルで、特別な知識を必要とせず、にもかかわらずデザイナーのモチベーションに応え得るツールが必要になると位置づけ。具体的には、コードやインターフェースが不要で、使って面白い、自動的に都市を生成するツールの開発に繋った、と同氏はその経緯を説明する。

 BLT2010のコンペでは、同氏らは限られた時間内にメディア芸術センターの建設計画を作成するため、これらのツールおよび手法を用いて施設の屋根をモデリング。これをUC-win/RoadのVR空間にインポートし、デザイン検討にも活用することが意図された。その際、屋根を自由曲面のパネルにした背景には、液晶パネルの採用など多様なデザイン提案に応用したい狙いがあったという。

 そのほか、前述のような、必ずしも適正な隅角部や平面を形成しないデータを基に、もう少しリアリティのある建物のファサード(facade:正面)を簡単に割り当て(assign)するツールを今回World 16では開発している。

 例えば、一戸の建物で頂点の数が1千数百個あるような場合、まず初めに同じ座標系にある点を一ヵ所にまとめたり、隅角部が適正な角度になるようにしたり、といった調整が求められる。

 そこで同氏は、CityDesignツールでこうしたプロセスを一括して変換。L字型や凸(convex)型の建物に対しても、三角形分割のメッシュから四角メッシュ(quad mesh)へ即座に変換できる機能を実現している。

 次いで、これにファサードを割り当て、よりリアリティのある建物モデルを作成できるツールも開発している。

 同氏はまず、多彩なファサードや異なるサイズの画像群を予めフォルダに蓄積。同プラグイン・ツールを使って必要に応じ組み合わせを変えたりして指定し、自動的にインターフェース(ボタン群)を生成。そこには、高さ情報や色情報を入れられるアルファチャンネル(alpha channel)が用意されており、分割したい四角メッシュを選択すると自動的に分割。ファサードが生成されるプロセスを示す。

 その上で同氏は、実はこれと類似したソフトは近年、複数出てきているとしつつ、それらがスクリプトなどを設定する必要があるのに対し、同ツールは自身の経験に基づいたアプローチにより自動的にモデルを生成できる、とその特徴を説く。

 このアイディアは、前回(2009年)World 16におけるハーバード大学(Harvard University)准教授のコスタス・タージディス(Kostas Terzidis)氏の確率的探索(Stochastic Search)に関する研究から着想。小林佳弘氏はさらに、次回(2011年)のWorld 16に向け、このツールの新たな利用展開への期待を述べる。

Exploring New Trends: Information-oriented Strategy and Technologies in Civil Engineering, Construction, Transportation and Environment

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