UC-win/RoadとiPhoneを使ったVRと音楽の統合 Integration of VR and Music through the Use of UC-win/Road and iPhone |
同様な考え方は、UC-win/Roadのようなバーチャル環境(virtual environment)でも実現が可能なはず。そのような発想から同氏は、UC-win/Roadのプラグイン(plug-in)を利用。取得したGPSデータを使い、UC-win/Roadで作成された中目黒駅周辺のVRとiPhoneを連動させ、VR上の進路を移動しながらそれぞれの位置に基づく異なる音響を聴くことが出来るアプリケーションを開発。その一端をデモンストレーションした。
その延長上で同氏は、自身の出身地であり、やはりその前年(2009年)の夏に訪れたギリシャでの航海を例示。前述の他のケースと同じ考え方に立ち、ギリシャの地図に対し、交差点に替えて港を設定。これらをトポロジー・ツリーで表現。あとは同様に、ある港を出発し、次々と他の港を経由していく経路が描かれ、多様な組み合わせの航路が形成される。
さまざまなギリシャの港と経路の注釈 Different Ports in Greece with a Narrative on a Path (画像はコスタス・タージディス氏 提供/(有)ライティング・ソリューションズ 訳) (Images provided by Kostas Terzidis/Translated by WritingSolutions Ltd.) |
そして今度は、音楽よりもいっそうパーソナルな情報として、注釈や物語などの文字情報(text)に注目する。
実際に、例えば、テッサロニキ(Thessaloniki)港を出発。そこから5ヵ所の経由地がある中でリムノス(Limnos)島に向かい、リムノスからはさらに2ヵ所の経由地がある中でミティリーニ(Mytilini)港へと至る、といったストーリーを展開。想定されるあらゆる航路のシナリオを創作するとともに、自ら選択したストーリーの文字情報を付加する。
次いで同氏は、ギリシャの地図から航路図のトポロジー・ツリーによる表現、あらゆる航路の可能性、自身の選択した航路、各航路についての文字情報という、一連の情報を携帯できるようiPhone上で再現。これにより、極めて自身に近い、いっそうパーソナルな情報を実現できると語る。
Exploring New Trends: Information-oriented Strategy and Technologies in Civil Engineering, Construction, Transportation and Environment
道路、あるいは移動経路に関係する一般的なストーリーは、音楽や画像、文字情報、携帯電話や携帯情報端末といったパーソナルデバイス(personal devices)などの利用を通じ、よりパーソナル化することが可能。とくに音楽は場所に対する人の記憶を高めるため、スマートフォンなどを利用することで、地理的位置(geographical locations)との連携が増すほか、同じ音楽がバーチャルな位置(virtual locations)とも関連づけられる。
最終的には、ユーザーが自身の「what if(もし〜なら)」シナリオを探索する順列を使うことで一連の経路が生成されるとする。
そうしたプロセスで用いられる情報はすべて「あなた」についてのもの、とタージディス氏は位置づける。
しかしその「あなた」というのは、無名の誰かといった抽象的な実体(abstract entity)としてではなく、「あなた方一人ひとり」と同じく「私」個人のすべて、あるいは「私」にとって極めてパーソナルな世界のことを指すという。
つまり、関心に配慮し、それらの情報をいかに私たちにとって役立つようにするか、そして情報の客観的な世界(objective world)をいかに実際の私たちを表現する、より主観的な世界(subjective world)にしていくか ― を目指す考え方を説く。
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経路の生成へパーソナルな世界を反映
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パーソナル・インフォマティクス(個人の情報学):
ライフパス(日々の活動における経路)
Personal Informatics: Life Paths
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