都市構造の評価において、街路の長さの制御は重要である。複雑な街区のインプット・ビットマップから都市のレイアウトを生成するカスタムのアルゴリズムが開発された。道路の長さが一定のままであれば、街区間の視認性および接続性の程度はニーズに応じて制御し得る。そこでこのレイアウトは、UC-win/Roadへのインポート用3D幾何形状を作成するため、3D Studio Maxで形成された。
In evaluating city structures it is important to control for the length of streets. A custom algorithm was developed which produces city layouts from an input bitmap of city block complexity. While the length of road remains constant, the amount of visibility and connectivity between city blocks can be controlled as desired. This layout was then extruded in 3D Studio Max to create 3D geometry for import into UC-win/Road.

 実験の結果、階層的に統合された世界では被験者が多少ぶらつきながらも、数回試行するうちに所定の終着点へと、次第に容易に到達。これに対し、階層のない(分散的に統合された)世界では被験者が終着点へ達するのにより長く時間を要した。こうしたことから、後者では被験者が心の中になかなか地図を描ききれない傾向が想定された。

 そのようなプロセスで、方向転換(turns)はとくに、距離(distance)や時間(time)などのスペースシンタックス(Space Syntax)で用いられる他の典型的な評価手段と比べ、より認識に関わる(cognitive)が故に非常に重要になる、と同氏は語る。つまり、人はたとえ距離が多少長くなっても、その都度考えさせられる方向転換が少ない経路(path)を取りがちになる。そこで、この方向転換と距離の両評価手段が、取り組むべき統計(statistics)の対象に位置づけられた。

 また同実験を通じ、街路およびそれらの接続の数といった距離の総計、あるいは方向転換の数を制御することは出来なかった。そのため、同氏は距離や方向転換などを制御する他のテクニックの開発を目指すこととした。その間、R.C. Dalton(ダルトン)によるジャンクションの識別法などにも注目したが、多くの都市の実態を考慮。ある種のブロックを用いてこれをコピーし、それらを重ね、その上で重なった一部をランダムに除去。制御された経路ネットワークのアルゴリズム(Algorithm for controlled path network)を構成している。

 こうしたアプローチから、同じ数の街路と同じ道路の長さを持ち、変数の制御も可能な、複数の異なる地図の作成が可能になった。そこでは変動度(variability)を設定し、滑らか、もしくはシャープな移行も表現できる。また、それを基にDepth Mapを用いて接続性の観点から考察したり、統合図を作成して見ることも出来る。その際、統合および接続性の相互の関係が重要になるという。


UC-win/Road用プラグイン開発、Isovistを試行

Exploring New Trends: Information-oriented Strategy and Technologies in Civil Engineering, Construction, Transportation and Environment

アルゴリズム的に描かれた都市は、UC-win/Roadでレンダリングされる。上空からのライティングは、予め計算され、より写真のようにリアルなライティングを生成するため幾何形状の中に埋め込まれた。
An algorithmically constructed city is rendered in UC-win/Road. Lighting from the sky was pre-computed and embedded into the geometry to produce more photorealistic lighting.

 都市のナビゲーションをする上で階層がいかに有効かの評価には、Isovistなど他のテクニックの利用も考えられる。Isovistは、前述のように、空間内を移動するにつれてさまざまな形状を成し、それぞれの形状が多様な特性を持つ。

 そこでスウォーツ氏は、自ら3D Isovistを試行した例を解説する。

 まず、3D Studio Maxで作成していた3DモデルをUC-win/Roadへエクスポート。一方、UC-win/Road SDKを使い、UC-win/Road向けプラグインを開発。ベースとなるモデルにIsovistを生成するため、中央にキャラクターを置き、3Dのレイトレーシング(ray tracing)を実施。建物の端をかすめて延びる

Delphi.を使い、UC-win/Road用にカスタムのプラグインは作成された。同プラグインは、Isovistを生成するため、プレーヤーの周りでリアルタイム・レイトレーシングを行う。光線の長さは、光線に色をマッピングするのに利用される。ユーザーはXbox 360コントローラーを使い、プレーヤーを制御する。
A custom plugin was created for UC-win/Road using Delphi. The plugin performs real-time raytracing around the player to produce an isovist. The length of the rays are used to map color onto the rays. A user controls the player by using an Xbox 360 controller.

(画像はマテゥー・スウォーツ 氏 提供/
(有)ライティング・ソリューションズ 訳)
(Images provided by Matthew Swarts/
Translated by WritingSolutions Ltd.))

線はそれぞれの距離に応じて着色している。

 このプラグインにはなお、レイトレーシングのアルゴリズムにおける速度の向上など改善の余地はあるとする。それでも、より低いレベルの異なるレイトレーシング・アルゴリズムが必要であれば、独自のアルゴリズムを作成でき、効率性を高められるなどのメリットもある、と同氏は説く。

 こうしたことを踏まえ、同氏は次のステップで、レイトレーシング(あるいはIsovist)の発想を建設現場に応用する計画だ。つまり、建設現場のさまざまな箇所で一定の時点のレイトレーシングを行い、他の要素も考慮しつつどのエリアが安全か否かの可視化を目指す。例えば、建物のいくつかの要素のVRはあり、建設手順(construction sequence)における距離や速度といった要素とともにそれを利用することで、時間を越えて建設現場の安全の尺度を推定し、可視化していく。

 また、レイトレーシング以外にも、表面上の点群あるいはポリゴンを使う再現方法の利用、さらには特定のポイントにおけるそれぞれの形状の統計的尺度についての考察なども視野に入れているとしている。

WebMagazineTitle
WritingSolutions
201102Issue
Forum8
WMVR

Page 3 of 3

< Back

ビジュアル空間解析(UC-win/Roadで
点群の可視化を通じて実現されるIsovist解析)

Isovist Analysis Realized through Point Cloud Visualization
in UC-win/Road

Webマガジンの特集カテゴリ

CALS/EC
VR(バーチャルリアリティ)
その他
掲載記事・写真・図表などの違法な無断転載を禁じます。
Copyright
©2011 The WrightingSolutions Ltd. (http://www.wsolutionsjp.com/) All rights reserved.
リンク|
サイトマップ|
 お問い合わせ

Top Page

1

2

< Back

3