そうしたアプローチの中から、タンジブル・インターフェース(tangible interfaces)を通じたコラボレーションの様子、ARを使い学生らがどのように作業したか、を紹介。併せて、都市のデザイン計画においてアイディアを着想・確立し、それをどのように別の表現手段に変換(translate)するか、といった流れを示す。
また、実環境(Real Environment:RE)からAR、AV(Augmented Virtuality:拡張バーチャリティ)などを経てバーチャル環境へと至る、複合現実(Mixed Reality:MR)を構成する各段階の概念とそれらの位置づけを改めて整理。デザインプロセスでの活用を踏まえ、MRにおける情報や感覚的な関与(sensorial engagement)、VRの技術的制約などにも言及する。
同氏らが取り組んだバーチャル環境のデザインスタジオ(Virtual Environment Design Studio:VeDS)では、建築家が遠隔共同作業を行うためのツールという位置づけから、共同デザインおよびデザインに関するコミュニケーション機能にウェートが置かれた。ヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display)を使用し、没入型バーチャル環境において3D形状での理解を実現。これを基に、関係者がいかに共同して作業を行い、デザインについて学ぶか、デザインに強い影響力を与えるものは何か、そして表現手段がどういった役割を果たすか、といった課題に迫った。
基本的には、ローカルサイトと遠隔サイトの双方に関係者を配置。初期設計段階における対話型デザインのアプローチとして、モデルを介し対話や確認を行うことでチーム作業を構成。また、モデル作成に当たっては、VRAMやジェスチャー認識を適用。VEおよび3D技術を駆使し、香港にヘリコプターの発着場を設置するためのデザイン作業が取り組まれた。
実際の活動は、自らピンポンゲームと形容するように、片方のチームがデザインを開始する間、もう一方のチームはこれを注視。短い休憩を挟んで、2番目のチームが同じ環境下で同じファイルを使ってデザインを行う間、今度は最初のチームがその作業を注視。こうしてデザインの創出とコミュニケーションの各フェーズがパートナー間で繰り返された。
ジェスチャー参照マップ Gesture Reference Map |
その際、作業と同時にスクリーンショットを取り、フェーズ毎の進展状況がデータベースに保管される形とする。それらにWebサイトを通じてアクセスすることで、例えば、デザイン全体における時間の経過に応じた進展の様子を振り返って見ることが出来るほか、物理的もしくはオンラインで連携して作業するチームメンバーが誰かといった社会的要素についても分かるようにした。
加えて、デザイン・セッション中に交わされるやり取りも記録。どこに問題があるか、もしくは利点があるか、などデザインに関する参加者の話をチェックできるようにしている。
デザインデータベースとその成果 Design Database with outcomes (画像はマーク・オーレル・シナーベル 氏 提供/ (有)ライティング・ソリューションズ 訳) (Images provided by Marc Aurel Schnabel/ Translated by WritingSolutions Ltd.) |
同氏は前述のヘッドマウントディスプレイをはじめ、トラッキング装置、各種ソフトウェアなど今回プロジェクトにおける主要な技術的スペックにも言及。そのうち、開発した建築モデラーやジェスチャー認識システムなどの概要、それらを使うことで自らの物理的な作業と結び付き、デザインが目の前に再現される仕組みについて解説する。
Exploring New Trends: Information-oriented Strategy and Technologies in Civil Engineering, Construction, Transportation and Environment
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触れられないものに触る:
没入型バーチャル・デザインスタジオ
Touching the Untouchable:
Immersive Virtual Design Studio
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