WM20110331VR3Abdelhameed

　プレゼンテーションの冒頭、アブデルハミード氏はPMおよび各種プロジェクトにおける遅延やコスト超過の関係、さらに伝統的なスケジューリング手法およびプロジェクト完了に要する最長経路から効率的なPMを導くクリティカルパス法（critical path method：CPM）などの進捗管理技法（progress control techniques）に関する所説を引用する。

　その上で、まずスケジュールを、開始および終了日が予定されたプロジェクトの一定期間にわたる構成単位の一覧と位置づけ。それらの個々の単位は、しばしばリソースの要求量や予算、期間の面から算定され、依存関係によって連携され、スケジュール化されると解説。したがって、リソースおよび依存関係がいったん与えられると、スケジュールが形成される、という流れを描く。

　併せて、同氏はスケジュールを作成するためのさまざまな方法として、伝統的かつ数学的なCPM、さらにグラフィカルな線形スケジューリング・モデル（Linear scheduling model）あるいは繰返しスケジューリング法（Repetitive scheduling method）といったアプローチに言及。スケジュールの計算という大量かつ冗長な作業を自動的に行い、PMを支援するソフトウェアは数多くあると説明する。

　次いで、プロジェクトのスケジュールを作成するポピュラーなツールであるMicrosoft Projectをはじめ、Primavera、Open Workbench、dotProject、NetOffice、TUTOSなどを列挙。そうした具体例として、Microsoft Projectを使って作成したガントチャート（Gantt chart）を提示。それぞれのタスクがバーによって、複数タスク間の依存関係が矢印によって表現され、黒のひし形がスケジュールにおける重要なイベントであるプロジェクトのマイルストーンもしくは期間のないタスクを表す、といったイメージを示す。またリスク計画は、プロジェクトに脅威を与えるあらゆるリスクの一覧、および一部あるいはすべてのリスクを軽減するプランを包含。レポートは、スケジュールに従ったプロジェクト展開を詳述する、などとポイントに触れる。
　　　　　　　　

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バーレーン大学工学部建設学科アシスタントプロフェッサー
ワーイル・アブデルハミード 氏
Wael Abdelhameed,
Assistant Professor, Department of Civil Engineering & Architecture, College of Engineering, University of Bahrain

（写真は㈱フォーラムエイト提供）
(Photo provided by FORUM8)

　バーレーン大学工学部建設学科アシスタントプロフェッサーのワーイル・アブデルハミード氏は、イスラム建築や近隣地域の計画策定など多様な建築デザインプロセスへのコンピュータ利用に関する研究に取り組む。

　2010年の「World 16」プロジェクトにあたり、同氏は同僚のアシスタントプロフェッサー、ハリール・アル・ジョブリ氏（Khalil Al-Joburi, Assistant Professor, Department of Civil Engineering and Architecture, College of Engineering, University of Bahrain）との共同研究として着手することとした。そこでの共通の研究テーマ（research concern）には、プロジェクトマネジメント（Project Management：PM）全般にVR（Virtual Reality）を利用すること、そして資金調達が具体的なスケジューリングにどのような影響を及ぼすかについて探ることが設定された。

　その際、事前の調査検討を経て、同氏らはそれぞれの研究領域に集中し、二つの異なるアングルから取り組むことで合意。ジョブリ氏は資金調達とスケジューリングおよびレポーティングの関係、それに対してアブデルハミード氏はVRアプリケーション（3DリアルタイムVRソフト「UC-win/Road」）と3Dモデルの移動で表現される各種シミュレーションのアニメーションを再生する「マイクロシミュレーションプレーヤー（Micro Simulation Player）」に焦点を当てることになった。「第4回国際VRシンポジウム」（2010年）ではそのうち、アブデルハミード氏が自ら行った研究プロジェクトを中心に紹介している。