「CIM ― 注目される、その展開と可能性」連載特集(2)
「第2回 データモデルセミナー」(土木学会・道路業務プロセスモデル検討小委主催)リポート
道路事業向けプロダクトモデルおよび業務プロセスモデルの構築へ ― 道路データモデルの提案アプローチ(5)
「データモデルの将来像」
CIMの試行業務を踏まえた、将来あるべきデータモデルの考察
データモデル活用に向けた課題
こうしたCIM試行業務を通じて得た知見を踏まえ、和泉氏はデータモデルの将来像に向けての課題を「技術」「運用」「制度」という三つの観点から解説する。
技術面については、前述のようにCIM試行業務ではモデル作成にかなりの労力を要する結果となった。その意味からも、ベンダー各社によるモデル作成機能の更なる開発への期待を述べる。
一方、運用面ということでは、モデルを作成・操作できる人材が限られる、と指摘。例えば、CADのオペレーターは大勢いるとは言え、3Dモデルという異なる概念のものを扱うとなると、土木業界ではごく少数に留まる。一方、建築業や製造業では3Dモデルを扱える人が比較的多く見られるものの、言葉の違いもあって土木エンジニアとのコミュニケーションが難しいなどの問題がある。そのような事情を考えると、モデルを扱うためのハイスペックなハードウェアや専門のソフトウェアといったツール環境とともに、適応するマニュアルの整備が欠かせないとする。
さらに制度面に関しても、前述のCIM試行業務に際し、同氏らはモデルデータと、それから切り出した図面を納品している。しかし、正式な設計成果は従来通りとされ、CIMモデルに関する成果物としての納品仕様がないゆえの問題に直面したという。つまり、既存の土木工事数量算出要領(案)もCAD製図基準(案)も適用できない中で、後工程での目的に応じ、どういう基準で上流工程のモデルを納品すべきか、というルールは当然必要になると説く。
ところが、これらは「ツールがないから出来ない、出来ないから効果が分からない、効果が分からないから制度をつくれない」と、三すくみの様相を呈している、と同氏は語る。
「では、どこから始まるのかというと、『いや、決めてくれれば』と、お互いに言い合っているようで、それこそが現在CIMの置かれている重要な課題だと思っています」
(画像は土木学会・道路業務プロセスモデル検討小委員会提供) |
Exploring New Trends: Information-oriented Strategy and Technologies in Civil Engineering, Construction, Transportation and Environment
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