「CIM ― 注目される、その展開と可能性」連載特集(2)

「第2回 データモデルセミナー」(土木学会・道路業務プロセスモデル検討小委主催)リポート
道路事業向けプロダクトモデルおよび業務プロセスモデルの構築へ ― 道路データモデルの提案アプローチ(5)


By 池野隆(Takashi IKENO)
(掲載 5/21/2014)

 (公社)土木学会土木情報学委員会「道路業務プロセスモデル検討小委員会」主催「第2回 データモデルセミナー」(2013年10月24日開催)を連載でリポートする第5弾。今回は同小委に設置された分科会(WG)の一つ、「WG2:データモデルの将来像」による活動報告のポイントを紹介する。


「データモデルの将来像」
CIMの試行業務を踏まえた、将来あるべきデータモデルの考察

 同WGには、これまでにデータモデルやプロダクトモデルの将来像、あるいはそれら
(公社)土木学会 土木情報学委員会 道路業務プロセスモデル検討小委員会WG2(データモデルの将来像) 主査 和泉 繁 氏(大日本コンサルタント 技術統括部 技術企画室長)
のあるべき姿に迫る論文を複数発表している関西大学環境都市工学部の窪田諭准教授もメンバーとして参加している。そこでまず、それら論文の内容について吟味を重ねる先に、同WGが目指す成果に繋がるはず、と考えられた。

 一方、データモデルの将来像がどのようなものかというのもさることながら、どのようにしてその将来像に達するかというアプローチはより重要になる。そうした観点から、そこでの阻害要因がどのようなものかについて議論を深めていきたい ― 。

 道路業務プロセスモデル検討小委員会「WG2:データモデルの将来像」主査の和泉繁氏(大日本コンサルタント葛Z術統括部技術企画室長)は、同氏らが活動を開始した当初の着想を振り返るとともに、新たな取り組みのスタンスをこう描く。


データモデルを巡るキーワード

 「いろいろな言い方があるかも知れませんが」としつつ、和泉氏は初めに自身らの活動でカギとなる用語の定義を改めて整理する。

 まず「プロダクトモデル」は、3次元(3D)幾何形状と属性情報から成る「データモデル」。例えば、CIM(Construction Information Modeling (/ Management))では、建設事業のライフサイクルにわたってICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)を駆使し、一連のプロセスで関係する情報を一元的に共有・活用。そうした中から、建設事業のプロセス全体を通じ、生産性向上に繋がる新しい建設管理システムの構築を目指す。その仕組みのコアとなるのが、まさにこの「プロダクトモデル」というわけだ。

 また「業務プロセスモデル」は、実際の事業プロセスを抽象化した「データモデル」。そこには、企画業務や設計業務、生産行為などさまざまな仕事のプロセスが反映される。

 さらに「建設事業のデータモデル」は、前述の二つ(「プロダクトモデル」と「業務プロセスモデル」)を相互に連携。それにより、建設事業に必要な情報が管理されるというもの。同氏は、こういった考え方が「(同小委内で)だいたい共通認識になりつつある」と位置づける。

(画像は土木学会・道路業務プロセスモデル検討小委員会提供)

 次ページへ続く

Exploring New Trends: Information-oriented Strategy and Technologies in Civil Engineering, Construction, Transportation and Environment

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