「CIM ― 注目される、その展開と可能性」連載特集(2)
「第2回 データモデルセミナー」(土木学会・道路業務プロセスモデル検討小委主催)リポート
道路事業向けプロダクトモデルおよび業務プロセスモデルの構築へ ― 道路データモデルの提案アプローチ(3)
「道路事業のデータモデル」
プロダクトモデルとプロセスモデルの定義から新たな関係への展開
次いで、「ボックスカルバートは道路の構成要素の一つ」という視点から、例えば、カルバートはポータルカルバートやオーバーブリッジなどとともに「横断構造物」を構成。さらにそれらは「道路構造物」と総称され、配置や移管先、斜角、設計業者、施工時期などの各種属性データを持つ、とする。
一方、同氏は交差施設について「ボックスカルバートとは別のオブジェクトとして考えなければいけない」と位置づけ。これには横断道路や横断水路、文化財が含まれ、道路・水路や管理者といった属性情報が付記される。「これらが全部、『交差施設』というようなもので括られる感じになっています」
(画像は土木学会・道路業務プロセスモデル検討小委員会提供) |
併せて、それら交差施設は、前述の横断構造物と対応。また、横断構造物と本線構造物を総称し、「構造物」という一つの親オブジェクトになる。さらに、その構造物と土工により「道路」は構成される、と概説する。
では、何故そのようなこと(道路の構成要素一つひとつの定義づけ)をするのか。その狙いについて同氏は、道路の構成要素をそれぞれ、例えば、XML(eXtensible Markup Language)のような言語で定義してコンピュータに読み込ませることで、コンピュータはそれを知識として認識。それぞれのデータが持つ(例えば、交差施設の管理者と道路構造物との関係などの)ルールを自動的に反映することが可能になる。つまり、コンピュータにそういった知識体系を覚え込ませるためには定義づけは必要な作業であり、それがデータモデルをつくることの大きな意味と説く。
プロセスモデル考慮の必要性
「実際に仕事をする時には調査、設計、施工という(ように建設事業を構成する)プロセスが必要になりますので、(それらを定義する)『プロセスモデル』も必要ということです」
羽田野氏は、前述の道路プロダクトモデルを例に、図内のボックスカルバートについて表現する部分にある「設計オブジェクト(カルバート設計)へリンク」と記述された箇所を指示。例えば、設計をする場合には「設計オブジェクトがプロダクトモデルから所要のデータを引っ張ってきたり、(設計計算の結果をプロダクトモデルの方に)戻したりしなければいけない」ため、「リンク」という概念が必要になる、と話す。
(画像は土木学会・道路業務プロセスモデル検討小委員会提供) |
次いで同氏は、設計にフォーカスした「プロセスモデル」例を掲示。設計の中には、橋梁設計やカルバート設計、擁壁設計などさまざまな種類があり、併せて、それらの設計に付随して設計図や設計条件、材質規格といった各種の成果品が想定され、それぞれのオブジェクトモデルが構成される。したがって、実際に仕事をすることを考えると、先に触れた「プロダクトモデル」だけでなく、事業プロセスを定義する「プロセスモデル」も同様に考える必要がある、と解説する。
Exploring New Trends: Information-oriented Strategy and Technologies in Civil Engineering, Construction, Transportation and Environment
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