グリーンITSから路車連携による次世代ITSへ
ITS技術に関する直近の国総研プロジェクト研究



「道路インフラと自動車技術との連携による次世代ITSの開発」アプローチ

 具体的には、今回プロジェクト研究においてまず、高速道路のサグ部で生じがちな渋滞を防ぐため、代表的なサグ部を対象に安定かつ円滑な交通流を実現する交通円滑化システムを構築。併せて、ACC(車間距離・車速制御システム)やCACC(Cooperative Adaptive Cruise Control:ACCに車車間通信機能を加え、精密に車間距離制御を行う技術)など、路車間・車車間通信に基づく車両技術と道路インフラとの連携による安全運転支援システムに関する研究開発、実証実験やシミュレーションを通じたその渋滞削減効果やドライバー受容性の評価、およびシステムが備えるべき機能の水準や仕様の策定などを官民(「高速道路サグ部等交通円滑化研究会」など)が連携して実施する。

交通円滑化・安全運転支援システム
(画像は国総研提供)

 そのうち、とくに路車間・車車間の連携については従来、それぞれの通信システムが個別に構築されてきた経緯がある。そこでこれを、路車間・車車間を相互に協調したものにする情報通信システムの開発を進める。そのため、「次世代の協調ITS開発に関する共同研究」を構成。通信方式やデータ形式などの整合を図り、道路と車両の間で情報を連携・補完する協調ITS(Cooperative ITS)による多様なサービスの実現に向け、路車間・車車間で送受信するメッセージや共通端末装置機能などの検討・調査を展開。次世代の協調ITSの開発を目指すとする。

路車間・車車間通信が協調した情報通信システム
(画像は国総研提供)

 その際にキーとなるもう一つの要素が、高精度な自車位置の特定による安全運転支援システムの高度化に資する大縮尺道路地図だ。これについては、情報基盤研究室を中心に「大縮尺道路地図の整備・更新手法に関する共同研究」を立ち上げ、既存の道路基盤地図情報をはじめ各機関が保有する1/500や1/1000といった地図等も利用しつつ、大縮尺道路地図を整備・更新するための技術基準や仕様案を策定していく。

 同プロジェクト研究では、さまざまなITSサービスの提供あるいは普及の基盤となる、国際的にも調和のとれた技術基準や仕様案を官民共同で作成。そうした成果の先に、民間や道路管理者などが一体となって次世代の協調ITSサービスの実現・普及に繋げていく、との次なる展開が描かれている。

Exploring New Trends: Information-oriented Strategy and Technologies in Civil Engineering, Construction, Transportation and Environment

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