Exploring New Trends: Information-oriented Strategy and Technologies in Civil Engineering, Construction, Transportation and Environment

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「ITS世界会議東京2013」連載特集(1)

 20回目を迎えるITS世界会議(「第20回ITS世界会議東京2013」)が今年10月14日〜18日、東京で開催されます(主催:ITS世界会議東京2013日本組織委員会/ITS Japan/東京都、共催:ITS Asia-Pacific/ITS America/ERTICO)。これを機に本Webマガジンでは、同会議あるいはITSに関連する情報や動向に焦点を当てた連載を行ってまいります。

By 池野隆(Takashi IKENO)
(掲載 8/19/2013)

ITSを核に進化する交通社会
ビッグデータ活用や自動運転実用化に向けた展開も


 情報通信技術(ICT)の進展を背景に、現代社会の広範な局面で日々生成される膨大かつ多様なデータが流通し、蓄積され、さらにそれらを分析・活用できる環境が向上。加えて近年は、そうしたビッグデータのさまざまな活用可能性への期待も高まっている。

 そのようなアプローチの一つに「交通のビッグデータ」がある。2011年3月11日に発生した東日本大震災では、地震直後、避難しようとする車で渋滞しているところへ津波が襲い、車列ごと流されるなどして多くの犠牲者を生む事態を来したことが知られる。その一方で、車のナビゲーションシステムを通じて得られたGPS(Global Positioning System)情報などのプローブ(probe)交通情報を活用。被災によりいたる所で分断された道路交通網の中から、通行実績があった経路の情報を広く提供できるメリットが脚光を浴びた。

 特定非営利活動法人ITS Japanの広報担当者は、近い将来実現するであろう各種の新たな道路交通システムやわが国ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)の今後の展開方向について説明。その上で最近注目される話題として、前述の「交通のビッグデータ」に関連した通行実績情報の配信への継続的な取り組みや、複数トラックによる自動運転・隊列走行の実用化に向けた取り組みに触れる。

ITS世界会議とITS Japan

 ITS Japanは6月12日、経団連会館(東京)で2013年度通常総会を開催した。とくに今年は、「第20回ITS世界会議東京2013」(10月14日〜18日)の開催を控えていることから、ITS Japanの最新の活動報告とともに、ITS世界会議東京の概要やそこでの見どころなども紹介。同会議に関する新情報はそれ以降もさまざまな形で随時発信されており、その具体像が次第に浮かび上がりつつある。

 そのITS世界会議が初めて開かれたのは、1994年のフランス・パリに遡る。併せて、第2回会議(1995年)の横浜開催が決まったのを契機に、わが国のITS関係5省庁(当時の警察庁、通商産業省、運輸省、郵政省および建設省)の支援を受け、ITS分野の研究開発や実用化を推進する任意団体、VERTIS(VEhicle, Road and Traffic Intelligence Society:道路・交通・車両インテリジェント化推進協議会)が1994年1月に設立された。

 以来、VERTISはITS世界会議の日本および(1996年から)アジア・太平洋地域の事務局を務めるとともに、国内におけるITSの普及啓発や会員への情報提供などの活動を展開。その間、2001年6月には現行の「ITS Japan」に改称。その後、2005年6月からは特定非営利活動法人(NPO法人)の認証を取得している。

 ITSをめぐっては、米州、欧州、アジア・太平洋地域の世界3地域を代表する3組織(米州:ITS America、欧州:ERTICO、アジア・太平洋地域:ITS Japan)が連携。毎年これらが持ち回りでITS世界会議を開催している。

 また、アジア・太平洋地域では現在、12ヵ国・地域のITS組織が加盟するITS Asia-Pacificを設置。ITS Japanはその事務局として、国際交流活動の推進に努めている。

わが国ITS推進の段階的取り組み

 ITSは、最先端のICTを駆使して、「人」と「道路」と「車両」の間で情報を受発信する仕組みを通じ、安全性や環境、利便性といった面から道路交通を改善するもの。その関連技術は多岐にわたり、交通問題の解決はもちろん、生活の質的向上や経済発展への寄与に繋がるさまざまなシステムが含まれる。

 日本でITS分野の研究開発が取り組まれ始めたのは1970年代の初め。ただ、「ITS」の用語は当初定まっておらず、第2回ITS世界会議横浜1995を機に日本人研究者から提唱されたのを受け、世界的に定着してきたとされる。

 高度情報通信社会推進本部(本部長:内閣総理大臣)がITSの推進にも言及する「高度情報通信社会推進に向けた基本方針」を決定したのは、1995年。翌1996年、前述のITS関係5省庁(当時)が「ITS推進に関する全体構想」を策定。道路や交通、車両、情報通信など広範な分野に及ぶITS実現の前提として、関係省庁はもとより産学官の連携・協力を位置づけ。この国家的プロジェクトが戦略的に推進されるよう、目標とする機能や基本的な考え方などを長期ビジョンとして定めた。

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