関西大学カイザー・プロジェクト特別セミナー リポート
 「時間項を考慮した3次元CADエンジンの開発に関する最終報告会」
Report on Kansai University Kaiser Project Special Seminar
 “Final Report on Development of the 3D CAD Engine in Consideration of Time Terms”



 これらの活動を通じ、「調査報告書」「概略設計書」「基本設計書」「詳細設計書」「プロトタイプ開発仕様書」などのドキュメントを作成。併せて、最終成果となる3D CADエンジンを完成し、それを利用した簡易3D CADも開発されている。

 とくに3D CADエンジンは、土木建築分野での使用という位置づけを明確に想定。当面は今回プロジェクトに参画した各社のドメインCADに3D CADエンジンを実装してもらうのと併せ、開発された簡易3D CADソフトウェアを高校、高専、大学に配布するなど、実際に使ってもらうことで広範な普及を目指す。

 また田中教授は、前述の2D CADデータ交換のためのSXFが成功した理由として、建設分野の2D CADソフトウェアが多数存在したのに加え、各CADベンダーに技術的蓄積があったことを挙げる。それに対し、3D CADではもともと国産の汎用的なソフトウェアそのものがなく、それゆえ3D CADについてコアとなるノウハウも不足していた。それが今回プロジェクトにより3D CADに関するノウハウを蓄積。今後、3D CAD用SXFの策定に対応する際には技術的なベースになり得ると説く。

 さらに将来的な、3Dデータの利用によるいっそう高度な出来形管理や情報化施工の可能性に触れ、CIMにおける利用を通じた建設事業全体での生産性向上に繋げたい考えを示した。

特別セミナーの構成

 今回特別セミナーの前半は、ブリティッシュコロンビア大学工学部のトーマス・フローズ教授(Thomas Froese, Professor of Engineering, Faculty of Applied Science, the University of British Columbia)と、国土交通省国土技術政策総合研究所高度情報化研究センター情報基盤研究室室長の重高浩一氏による各特別講演で構成。

 後半は、前述の田中教授による講演を受け、岩手県立大学ソフトウェア情報学部の窪田諭講師(現・関西大学環境都市工学部准教授)、大阪経済大学情報社会学部の中村健二准教授、阪南大学経営情報学部の北川悦司准教授、宮城大学事業構想学部の物部貫太郎助教、フォーラムエイトの佐藤隆一氏らにより、汎用3D CADエンジンに関する技術的な解説と、簡易CADソフトを使ったデモンストレーションが行われた。

 そのうち、フローズ教授の特別講演については、別途リポート記事を掲載します。

(画像は、関西大学カイザー・プロジェクト提供)

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