関西大学カイザー・プロジェクト特別セミナー リポート
 「時間項を考慮した3次元CADエンジンの開発に関する最終報告会」
Report on Kansai University Kaiser Project Special Seminar
 “Final Report on Development of the 3D CAD Engine in Consideration of Time Terms”


By 池野隆(Takashi IKENO)
(掲載 5/18/2013)

関西大学総合情報学部教授
田中 成典

Shigenori Tanaka,
Professor, Faculty of Informatics, Kansai University



 「関西大学カイザー・プロジェクト」(代表:関西大学総合情報学部田中成典教授)は2012年12月18日、関西大学東京センターで「時間項を考慮した3次元CADエンジンの開発に関する最終報告会」と題する特別セミナーを開催した。建設業界全体で汎用的に利用できる3次元(3D)CADエンジンの開発を掲げるプロジェクトがスタートしたのは2008年6月。その後、4年半にわたる活動を通じ必要な各種仕様書の作成、プロトタイプの開発とそれによる仕様書の検証を経て、最終仕様書に基づく時間項を考慮した汎用3D CADエンジンの開発が完成している。同プロジェクトが活動の区切りを迎えた中で、次なるステップとして、この3D CADエンジンの普及とそれを核とする日本版3D CADソフトウェアの進展、さらにその先でのCIM(Construction Information Modeling)における利用の可能性が期待される。

プロジェクト組織化と運営

 2D CADに関しては、国際規格に則ったCADデータ交換標準(SXF)の開発が段階的に進む中で、それを採り入れた電子納品が国土交通省直轄事業向けを中心に定着するなど、わが国建設分野において着実に浸透してきた。ただ3D CADに対しては、その展開の重要性は認識されつつも、2Dの場合ほどには普及が進まない実情があった。

 それであれば「わが国建設業界に3D CADを普及させられるような仕掛けをつくりたい」との発想に至った、と田中教授は振り返る。

 こうして「関西大学カイザー・プロジェクト」は2008年、わが国建設業界における3D CADの低コストかつ迅速な普及を目的に、3D CADエンジンの設計・開発を目指して組織された。

 同プロジェクトには、同教授を中心に民間企業9社(アイサンテクノロジー、江守商事、関西総合情報研究所、建設技術研究所、建設システム、日本工営、フォーラムエイト、富士電機、三菱電機)、国内外の複数大学研究者らが参加。その運営に当たっては、プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)を設置。これを中心に産学が連携して推進する体制が取られ、2012年12月までに合計43回の会議が重ねられた。

開発成果、今後の展開・可能性

 同プロジェクトではまず、建設分野で3D CADが必要となる利用シーン、関連する標準やシーズなどについて調査。それに基づき、3Dデータの表現モデルや汎用3D CADエンジンの機能要件から成る概略設計、3Dデータ交換やユーザーインターフェースに関する仕様などの基本設計、データモデルやアルゴリズム、API関数といった詳細設計を作成。次いで、それまでの仕様書をベースにプロトタイプを開発し、これを使って仕様書を検証。その間、調査および基本設計に関する作業は、国交省の研究助成を受けて進められている。


(画像はいずれも、関西大学カイザー・プロジェクト提供)

Exploring New Trends: Information-oriented Strategy and Technologies in Civil Engineering, Construction, Transportation and Environment

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