VDWCは、潟tォーラムエイトがBIM(Building Information Modeling)とVR(Virtual Reality)を駆使し先進の建築・土木デザインをクラウド上で競うことを目的に2011年、VDWC実行委員会を組織してスタート。そこでは、同社が提供するVRやBIM、そのほか関連する各種ソフトウェア/ソリューション/サービスを使用し、建築や橋梁、都市、さらにはそれらの織りなす景観をデザイン。その競い合いを通じ、VR活用の多様化と併せ、建築系・土木系のアカデミックな世界でBIMを使いこなす人材の育成がターゲットとして位置づけられている。

 VDWCの特徴的な一つは、クラウド上で3D・VR空間を利用できる同社の合意形成ソリューション(「VR-Cloud」)をその審査プロセスに取り入れていること。その機能を使いインターネットを介して、国内外の複数審査委員は各作品を自由に見てコメントしたり、それを基に応募者とコミュニケーションしたりしつつ、それぞれの評価を行う。また、その仕組みは世界中の学生による同コンペへの参加も可能にする。その結果、今回VDWCには8ヵ国から36チームがエントリー。10月末の予選選考を経て、そのうち9作品がノミネートされ、前述のような手順で審査・投票(1次審査)を実施。11月20日に同社東京本社で行われた最終審査により、各賞受賞作品が決定している。

 今回VDWCでは、「海上都市のサステナブルデザイン(Sustainable Design of Marine City)」を課題に設定。応募者は東京、大阪(神戸)あるいは福岡の対象エリアにレクレーションや居住の機能を備えた人工島をデザイン、VRで表現して提案することが求められた。芝浦工業大学のSWD LABによる「Noah’s Ark ― Tokyo 2050」がそのワールドカップ賞(最優秀賞)に輝いた。

 翌11月21日は表彰式に先駆け、グリニッジ大学(英国)のエド・ガレア教授および関西大学の田中成典教授が特別講演。表彰式はレポーターの阿部祐二氏によるインタビューを交えながら進められた。なお、ガレア教授による講演の詳細については本Webマガジンにて別途ご紹介します。
WMVR
Forum8-1
(掲載 1/12/2013)
By 池野隆(Takashi IKENO)
(画像はいずれも、潟tォーラムエイト提供)
Virtual Design World Cup
 「第2回 学生BIM & VRデザインコンテスト オン クラウド」
 Virtual Design World Cup実行委員会(実行委員長:池田靖史・慶応義塾大学大学院教授)は2012年11月21日、品川・コクヨホールで「Virtual Design World Cup(VDWC) ― 第2回 学生BIM & VRデザインコンテスト オン クラウド」の受賞作品を発表、表彰式を行った。
 The 2nd Student BIM & VR Design Contest on Cloud Services
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海上都市のサステナブルデザイン、最優秀賞は芝浦工大チーム
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 今回VDWCの各賞受賞概要は次の通り。

 ワールドカップ賞(最優秀賞)は、芝浦工業大学のSWD LABによる「Noah’s Ark ― Tokyo 2050」。圧倒的な票数を得た(池田教授)というこの作品は、海洋生物の生息に不向きな環境となる東京湾を想定。「ノアの箱舟」の中央に配したレンズにより植物プランクトンの光合成を促すなど、海水を浄化し湾本来の機能回復を目指す。またこの人工島を構成する異なるサイズのユニットは、非常時にはそれぞれが独立した救命ボートのように海を漂流するというもの。デザインに当たり「EXODUS」を用いて避難解析を行うなど、多岐にわたった検討も高い評価に繋がった。

 優秀賞2作品のうち、上海大学・1205チームによる「City of Dreams」はモダン&ノスタルジア賞を併せて受賞している。機能的な各種インフラが充実し、環境や景観にも考慮した文字通り「夢の街」を表現した同作品にについて、吉川弘道・東京都市大学教授は近代的な優れた設計であるとともに郷愁も誘われる、と特徴づけ。とくにVRは丹念に作成されており、相当な労力を要したはずと称える。

 もう一つの優秀賞は、日本大学のJT&SOによる「Fisland」。他の作品が主に街づくりを目指す中で、ここでは自然の地形によりフォーカス。レクレーションや居住の機能を備えた東京湾の島をデザインしつつ、長い年月をかけて成長する砂浜や森などの影響も考慮。その先に形成される自然を精力的に表現しているとされた。

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