「eパーキング」はソーシャル・ネットワーク・システム(social network system)の一つで、GPS(Global Positioning System)ベースのモバイル機器を介し、都市内の駐車スポット(parking spots)に関する情報交換を容易にしようというもの。
具体的には、駐車場所を供給する側(駐車スポットのオーナー)と求める側(ドライバー)を利用者として想定。それぞれの利用者はあらかじめ自身や使用する自動車、財務などに関する情報を提供して契約する。各利用者の情報はデータベースに登録され、そこで利用者間の取引が管理される。
タージディス氏は、(2011年11月時点では)まだソフトウェアを開発途中としながら、スマートフォン(今回はiPhone)の画面を模したイメージ上に、自身および車の現在地を表す「eパーキング」のホームページを例示。まず、都心部のどこへ行こうとしており、どこの駐車スポットを予約するか決めることから始まる、とする。
例えば、やはり駐車場を探すのが非常に難しいところの一つとして知られる、マサチューセッツ現代美術館(MASS MoCA)をターゲットに設定。登録したドライバーが「eパーキング」の画面から「MASS MoCA」などエリアを特定できる情報を入力すると、ターゲット周辺の地図とともに可能性のある駐車スポットを示すアノテーション(annotation)のピンが複数現れる。その中で利用時間や費用などの条件が最も合うものを選べば、その情報は売り手側に送られ、予約へと至る。
次いで、当該駐車スポットへの行き方、あるいはその間の道路構造のバーチャルシミュレーション(virtual simulation)をiPhoneなどの機器で表示。ドライバーはそれを見ながらスポットを最終確認する。他方、当該スポットの提供者が取引相手として好ましいか否かを判断するための情報も取得。それらを踏まえて駐車スポットの購入手続きへと進む。
逆に自分の駐車スポットを売りたい場合は、登録した利用者がスマートフォンやデータベースを介して車の位置を提示。併せて、例えば、車をそこから出す間、自身の車庫や裏庭をはじめその駐車スポットを売りたいという意思を表明。所定の手続きをこなして、それを求めるドライバーが応答してくるのを待つ。
その後、当該スポットの購入に関心を持った人々のリストの中から、タイムフレーム(time frame)や料金などの条件面でより好ましい購入希望者を選択。OKということになれば、商取引が成立する運びとなる。
タージディス氏は、「eパーキング」システムにおけるGUI(Graphical User Interface)の構成やデータベースへのアクセスに関するブロック図を示し、そこでの駐車スポットの取引およびお金の流れについて解説する。
例えば、駐車スポットを供給する側と求める側双方の利用者間で商談が成立すると、「eパーキング」システムは金銭の取引を行い、その一部を同システム側で受け取ることになる。また、最新のスマートフォンの機能を活用することで、同システムを運用するための有用なサービスも可能になる。そうしたシステムの特性を通じ、登録する利用者同士にとって便利で公正な駐車スポットの確保、それに付随する節約や利得をもたらすばかりではなく、都市やコミュニティにとっても環境や交通の改善、地域経済への貢献などさまざまな利益に繋がるとする。
その上で、こうした都心部での駐車をめぐる問題が世界中で常に発生していることを踏まえ、同システムのニーズの広がりに期待を述べる。
一方、類似した取り組みは米国内で何社か見られるものの、それぞれ個別の特徴もあり、(2011年11月時点では)同プロジェクトに対する競合はさほど見当たらない、と同氏は位置づける。併せて、それまで取り組んできたiPhone版のほか、Android版のアプリ開発を進める考えにも言及する。
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最後に、タージディス氏らが開発してきたiPhone版アプリによる「eパーキング」のシミュレーションを実演した。
Exploring New Trends: Information-oriented Strategy and Technologies in
Civil Engineering, Construction, Transportation and Environment