高精度かつ先進の構造解析ソフト
By 池野隆
(掲載 5/31/2011)
Exploring New Trends: Information-oriented Strategy and Technologies in
Civil Engineering, Construction, Transportation and Environment
公益財団法人 りそな中小企業振興財団と日刊工業新聞社は5月11日、ホテルグランドパレス(東京・九段下)で「第23回 中小企業優秀新技術・新製品賞」(経済産業省中小企業庁後援)の贈賞式を行った。そのソフトウエア部門で、潟tォーラムエイト(伊藤裕二社長)の構造解析ソフト「Engineer’s Studio」が「優良賞」を受賞。併せて、同ソフトの開発を支援してきた東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻の前川宏一教授に「産学官連携特別賞」が授与された。
フォーラムエイト「Engineer’s Studio」
「第23回 中小企業優秀新技術・新製品賞」
ソフトウエア部門・優良賞を受賞
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「中小企業優秀新技術・新製品賞」は、国内中小企業の技術振興を図り、わが国産業の発展に貢献することを目的に、中小企業が開発する優れた新技術や新製品を表彰するもの。1988年にスタートして以来、毎年実施されている。
23回目を迎えた今回、応募作品数は<一般部門>が416件、<ソフトウエア部門>が121件、応募総数は537件と、過去最多に上った。その中から、各分野の専門家から構成される審査委員(審査委員長:吉川弘之科学技術振興機構研究開発戦略センター長)により、中小企業庁長官賞をはじめ、両部門にわたる計39件の受賞作品が選ばれた。
土木建設関連ソフトとして今回唯一の受賞となったEngineer’s Studioは、3次元有限要素法(FEM)により土木・建築構造物の耐震性などを調べる構造解析ソフト。解析要素として、3次元ファイバー要素と平板要素を備え、それらの材料非線形および幾何学的非線形(大変位)を同時に考慮した静的・動的解析を行える。とくに、平板要素は厚さ方向に複数の層を持つ積層構造とすることが出来、各層に対してそれぞれ異なる材料や線形・非線形の設定が可能。平板要素に適用するコンクリート構成則に東京大学コンクリート研究室で開発された鉄筋コンクリート非線形構成則を採用し、固有の非線形挙動の解析にも対応している。
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ソフトウエア部門・優良賞を受賞した「Engineer’s Studio」
(PPT画像は潟tォーラムエイト 提供)
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例えば、柱と梁を格子状に組み上げる一般的な建築物の場合、従来は部屋の一部を解析して全体を設計上最も安全となるように推定していたのが、Engineer’s
Studioでは壁などの耐震効果も正確に反映して解析。これにより、コスト面・耐震面ともにいっそう効果的な設計が可能になる。
また、従来の構造解析では構造部材のテキスト・コード入力などで高度な専門性が求められたほか、解析モデルの作成には時間と労力を要した。これに対し、Engineer’s Studioはマウス操作による直感的な入力をサポート、より実際の構造物に近いモデル化も容易に可能となった。
さらに、構造物の動的な変形を実際の構造物と同様にアニメーションで再現するとともに、損傷の進展具合を着色表示。どの方向、あるいはどの範囲に損傷が集中しているかも詳細に確認できる。